100th Anniversary

災害への支援

はじめに

1922年に大阪RCが設立されて以来、1923年の関東大震災以降、大地震、台風による水害、土砂災害、火山噴火、大きな火災等国内外の大規模な自然、人的災害発生時には、ロータリーは被災者の心に寄り添い、義捐金を送付すると共に現地でボランティア活動を行う等、その都度出来得る災害支援活動を積極的に行ってきました。災害支援は人道的奉仕活動そのものです。ここでは、過去地区を挙げて取り組んだ、特筆すべき阪神淡路大震災と東日本大震災復旧・復興支援活動を振り返ります。

阪神淡路大震災

1.地震発生

1995年1月17日(火)午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.2、震度8の直下型大地震が発生し、6430名が犠牲となり11万軒を超す家屋が倒壊する大災害となり、150万都市神戸は壊滅状態に陥りました。
ロータリー関係者にも大きな被害をもたらし、死者9名、負傷者多数、家屋・社屋の損壊は数知れず、特に武庫川以西の阪神間、神戸市内の各RCの被害は甚大で、電気、水道、ガスのライフラインが損傷し供給停止したため多数のRCが数カ月にわたり例会を開催出来ない状態が続きました。

2.ロータリーの活動

交通インフラも寸断され極めて困難な状況の中、震災発生直後からロータリークラブ、ローターアクトクラブのボランティアが多数現地に入り、がれき処理や避難所のサポート等を行い、また、自宅を避難所や入浴場として提供する等復旧作業支援に当りました。特にローターアクトクラブは老人介護施設での清掃や入浴サービス、他地区RACやYMCAメンバーと共同で一人暮らし老人宅での破損家具搬出、炊き出し等に積極的に携わり長期にわたり活動し、ロータリー精神、ローターアクトの存在感をいかんなく発揮しました。国際ロータリアンヨット同好会の世話役の大阪南RCは、会員所有のボート3隻で堺泉北港を前線基地として食料や水、医薬品等を神戸和田岬まで連日にわたりピストン輸送しました。また、医師や看護婦、重症患者の搬送も行い、陸路交通機関が切断された中、代替として海路の輸送ルート確保は初期の復旧活動に多大の貢献をしました。

3.2660地区の対応

海のRYLA、IGFミーティング等の地区行事も相次いで中止が決定される中、「阪神地震災害救援対策委員会」が設立され、各クラブに義捐金を呼びかけたところ約3500万円が寄せられ、そのうちまず2000万円を2680地区(兵庫)に、800万円をあしなが育英会に寄贈しました。残金は、ニコニコキャンプを中止し被災児童を招待する等、陽の当たらないところに手を差し伸べるとの考え方で多くの活動に使用されました。

4.里親クラブの設立

また、当地区として特筆すべき活動も行われました。震災で親を亡くした遺児を支援する里親クラブの設立です。4歳から高校生までの7名の震災遺児を里親7クラブが預かり成人するまでお世話をしました。前例のない長期にわたるロータリーの奉仕実践の実験でしたが見事な花を咲かせました(詳細は資料編に掲載)。

 

東日本大震災復旧・復興支援

1. 地震発生

2011年(平成23年)3月11日(金)14時46分、宮城県男鹿半島沖130キロの太平洋を震源とするマグニチュード9.0の大地震が発生し、東北地方を中心に東日本12都道府県で1万8425名の死者・行方不明者が発生する未曽有の大災害となりました。この地震により、最大40メートルにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。死者行方不明者の90%が津波に巻き込まれたことによる水死でした。建築物の全壊、流失、半壊は40万戸超、ピーク時の避難者数は約47万人、停電所帯数800万戸以上、断水世帯は180万戸以上に上りました。

2.ロータリーの対応

阪神淡路大震災の時と同様、各クラブ、ローターアクトクラブの動きは早く、多くのロータリー関係者が現地のクラブや個人的なネットワークを通して得られた情報をもとに初動支援に立ちあがりました。喫緊に必要な避難所用の水、食料、トイレットペーパー、おむつ、粉ミルク、乾電池、ガソリン等をトラックに積んで届けた大阪御堂筋RACや現地で医療活動に従事した元国際親善奨学生の沖縄の看護士の活動記録が2011年度ガバナー月信5月号に掲載されています。この他多くのロータリー関係者が地震発生直後に現地入りしたと思われますが全容は明らかではありません。

3.2660地区の対応

地区では、松本ガバナー(2010-11年度)が義捐金の拠出を全クラブに要請すると共に、自己満足型の奉仕作業ではなく、現地の真のニーズを的確に見極め我々のなすべきことを熟慮し大きな力として復旧から復興に至る息の長い支援を続ける重要性を訴えました。また、岡部ガバナーエレクトは会長エレクト研修セミナー(PETS)において、次年度の各クラブの奉仕活動を出来るだけ復旧復興支援に向けるよう呼び掛けました。義捐金は約1億900万円(内、海外からの義捐金2405万円)に上り、被災地区2520地区(岩手・宮城)、2530地区(福島)に2470万円を送り、残額の約半額は希望するクラブが独自で行う災害支援活動に使用されました。

4.災害支援プロジェクト

岡部ガバナー(2011-12年度)は新たに「災害支援プロジェクト」を設置し、地区に残った義捐金約4750万円を原資として、各クラブで新たに実施する支援プロジェクト、また、地区災害支援プロジェクトが独自に提案し実施するプロジェクトの補助金に充てるべくその管理を委ねました。「災害支援プロジェクト」は極めて有効に機能し、2011-12年度の1年間で計45件のプロジェクトが実施されました。復旧から復興に支援のステージが移行する中、現地の様々なニーズに的確に対応しました(詳細は資料編に掲載)。

5.エピローグ

地区補助金を用いたプロジェクトに携わったロータリー関係者が現地を訪問したことは勿論ですが、各クラブ、ローターアクトクラブ独自の活動でも多くの人が現地入りし、被災地の被災者、ロータリー関係者との触れ合いを通して心の震える感動を味わい、ロータリーモーメントを経験したことは多くの記録に残され、当100周年記念ウェブサイトにも多数の事例が収録されています。