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地区活動の足跡

青少年交換プログラムとは

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対象分野青少年奉仕-青少年交換
記入者横田孝久(東大阪RC)

1.青少年交換プログラムとは

ロータリーの青少年交換(RYE : Rotary Youth Exchange)は世界100ヶ国以上の国において、ロータリークラブとロータリアンの支援の下で行われる交換留学プログラムであり、原則15歳から19歳の高校生を対象とするプログラムです。交換学生には親善大使として、異文化を学びながら他国の友人と信頼関係を築くことで国際人、世界市民としての自覚を持ってもらうことが世界の平和に役立つものと期待されています。
派遣期間は約1年間の長期交換と、夏休みや春休み期間を利用した数日から数週間程度の滞在となる短期交換があります。長期交換の学生は受入地区が用意した3~4件のホストファミリーに2~3ケ月ずつ滞在し、そこから地元の高校へ通いながら、ロータリーの例会や各種イベントにも参加します。滞在中はホストファミリー以外にも受入地区の青少年交換委員会(YEC : Youth Exchange Committee)やカウンセラーが様々な形で学生を支援します。
出発の約1年前に各地区で選抜された派遣候補生は出発までの間に、渡航準備に加えて、派遣先国において親善大使としての役割を果たすために事前研修を受けますが、その間は派遣地区の青少年交換委員会が支援します。派遣候補生は決められた出発前研修を全て受講した時点で初めて派遣候補生から派遣生となります。ちなみに青少年交換では自国からの派遣生をアウトバウンド(Outbound)、海外からの受入れ学生をインバウンド(Inbound)と呼びます。
プログラムの参加費用については、現地滞在費、学費や食事代などは受入国のロータリークラブが負担します。その他の費用負担については地区によって多少事情が異なりますが、往復航空券にパスポートやビザの取得費、ワクチン接種費や小遣い、現地で参加する追加のツアー参加費用などは原則本人負担となります。
尚、留学中に取得した単位が認められるかどうかは高校によって事情が異なりますので、事前に自分が通う高校に相談しておくことが必要です。

2.青少年交換のルーツと成り立ち

ロータリーの青少年交換は1929年に欧州で始まったと言われ、日本では1960年前後から始まったものと思われます。元々青少年交換はロータリアン同士が国境を越えてお互いの子供を預け合う事から始まりました。その後クラブ単位で友好クラブとお互いの子女を預け合う形になり、後には地区単位で行われるようになりました。一般にロータリーの奉仕活動ではロータリアンやその家族は受益者になれませんが、青少年交換にロータリアンの家族が参加できる理由はこうした背景によるものです。
当時は青少年交換委員会など設けず私的に行われた活動であり、預け合い期間も様々であったので、そうした私的交換も含めると、いつどこで初めての交換事業が行われたかを特定するのは困難です。地区のガバナー月信やロータリーの友、ロータリー文庫などいくつかの資料には下記の様な日本国内の活動が紹介されています。
第二次大戦中、豪軍パイロットとして従軍中に日本軍の対空砲火を浴びて失明したDonald N. Farquhar氏はロータリアンとなり、1961年初めて東京で開催されたRI国際大会にて平和と国際理解の為に日本の学生をオーストラリアに迎えたいと申し出ます。それに370地区(九州全県と山口県)の松本ガバナーが応え、翌1962年久留米の16歳の女子高生、宮崎洋子さんがオーストラリアのローズバッド(Rosebud)RCに派遣されます。また同時に豪州275地区ガバナーの招待により更に8名の高校生が渡豪しました。この時は9名の一方的な派遣でしたので、翌年豪州より学生を迎えて初めて交換が成立しました。
 その後各地区で長期・短期両方の交換事業が行われます。当時の365地区でも1968年の第2回国際青少年交換計画委員会にて長期交換2名の受入れを決定した記録が残っています。1994年から開催された日本青少年交換研究会も1998年の第5回は2660地区がホストを務めています。1991年メキシコシティーで開催された国際大会では、それまで独自に行われていた国際青少年交換役員会議がRI国際大会のPreconventionとして認められ、以降は毎年国際大会開会前に世界中の青少年交換委員長が集まり、情報交換をするようになりました。日本でも2000年7月にはガバナー会の小委員会の1つとして青少年交換委員会(JYEC : Japan Youth Exchange Committee)が設置されます。
1972年青少年交換プログラムがRI規定審議会で決議され、正式プログラムとして認証されて以降、交換学生の選抜対象がロータリアンの子女以外にも拡大され(ロータリークラブの推薦は必要)、ロータリアン家庭以外のホストファミリーも増えてきました。そうした中、2005年にRIより通達が出され、青少年交換プログラムに参加する全地区に対して、青少年交換プログラム参加地区の法人化、賠償責任保険への加入、危機管理委員会の設置が義務付けられました。これに呼応して2007年7月にNPO法人国際ロータリー日本青少年交換委員会(RIJYEC)が設立されます。更には2017年1月にRIよりプログラムに参加する青少年をハラスメントや災害等から守るべく「ロータリー青少年保護の手引き」が各ガバナー宛に配信されます。これに対応する形で2018年4月に一般社団法人国際ロータリー日本青少年交換多地区合同機構(RIJYEM)を登記しRIの認証を受けます。

3.青少年交換の現状

2019-20年の年次報告によると、プログラム参加認定クラブは世界で490地区(内282地区が交換実施)、運営国は128ヶ国(内68ヶ国で交換実施)、参加したロータリークラブは5,371クラブでクラブ全体の16%、参加した学生は長期5,977名(内日本人は3%、170名)、短期2,206名(内日本人は2%、46名)、参加したホストファミリーは13,062世帯(内ロータリアン家庭は38%の4,997世帯)。
2660地区の2000年以降の交換実績を見ると、交換の相手国はアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、フランス、ドイツ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ポーランド、ハンガリー、チェコ、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、インド、台湾と実績があります。1998年~2007年の10年間では年平均13名の学生を派遣していますが、その後の10年間では年平均7名となり、2018年以降は3年間の活動休止を挟んで、2023年派遣候補生含め、年5名と派遣数が減少傾向にあります。

4.ROTEXについて

ロータリーの青少年交換プログラムを終了した交換学友をローテックス(ROTEX)と呼びます。彼らの活動は交換プログラムを終了し帰国した時点から始まり、その役割として地区の青少年交換委員会と協力し、自分たちの経験を活かしながら、派遣候補生や来日学生を様々な形でサポートする事です。派遣候補生に現地情報を伝えたり、渡航前の不安を取り除くための手伝いをしたり、また来日生には日本での生活に関するアドバイスや日本文化体験の手伝いなどもします。
それ以外にも、地区によって事情は異なりますが、ROTEXとして定例委員会を開催したり、他地区のROTEXと連携して奉仕活動を行う例も多くあります。ROTEXにもロータリークラブ同様、地区を超えた学友組織があり、世界大会も行われます。2020年1月には一般社団法人ROTEXがRotex JapanとしてRIに認定されました。また2020年11月にはROTEXを中心に組織された東京北Exchangeロータリー衛星クラブがRIより認証されています。
交換学生は、帰国後大学進学と共にホストクラブまたはロータリーとの縁が途絶えてしまうケースが散見されますが、ROTEXの学友組織の他、2660地区にはロータリー学友会もありますので、交換学友には引き続きロータリーとの関係を繋げるよう期待されます。

5.青少年交換の課題

元々友人同士で私的に子供を預け合っていた頃には特に問題無く行われていた青少年交換ですが、RIのプログラムとなってからは面識のないロータリアン、更にはロータリアンでもない他人の子供を預かる形が増え、前述のようにホストファミリーもロータリアン以外の家庭が半数以上を占める状況となっているなか、交換学生の約5%がプログラム完了前に早期帰国している現状が憂慮されます。早期帰国の原因は校則違反によるものが最多の21%、次いでホームシック、身体の健康不良やメンタルヘルス、ホストファミリーとのトラブルと続きます。
青少年奉仕の一環として広く青少年に交換留学の場を与えるといった考えは理解できるものの、一方で受入クラブやホストファミリー側から来日生に対する、または来日生の選考基準に関する苦情が増えています。参加対象者の拡大を推奨してきたRIからはプログラム参加地区に対して、賠償責任保険への加入やそのための法人化、危機管理委員会の設置そして青少年保護の手引きへの対応など次々と要求事項が増え、最近では障碍を持つ学生の派遣も推奨していることから、受入側の負担はますます重くなっています。前述のように全体の16%のロータリークラブしか青少年交換プログラムに参加しない理由として、こうした受入負担の増加も影響しているのではないかと思われます。
もう1つの問題として交換学生の減少が挙げられます。当地区でもこの15年で学生の減少が顕著です。身近に海外の情報に接することが容易な現代では進学面も考慮し、留学を希望する学生が減っていることも事実ですが、青少年奉仕予算の縮小やホストファミリーの確保が年々困難になっていることも理由として挙げられます。
ロータリーの青少年交換プログラムは単なる語学留学とは一線を画し、ロータリークラブが責任を持って世話をするので保護者は安心して子供を任せられるものであり、また学生にとっても一般の留学と異なり、ロータリーを通じて広く異文化を知りながら視野を広げ、世界中に友人を作ることが出来る機会であることを積極的に発信することが求められます。またホストファミリーについては、日本の住宅事情によるところも大きいと考えられますが、来日生をお客様扱いしてしまうことで、より重い負担を感じてしまう事もあるようです。来日生を我が子同様に受け入れることで、ホストファミリーにとっても得難い経験になるということを丁寧に説明することが肝要だと思います。アンケート調査では9割近いホストファミリーが帰国後も学生と連絡を取り合っており、中には三世代に亘って家族ぐるみの付き合いが続いているケースもあります。
 学生は帰国してからもROTEXという学友組織を通じてロータリーと繋がり、更に活動の場を拡げることが出来る。そのためにも大学進学や就職などで地元を離れる交換学友に対してはロータリーや学友組織から定期的な情報発信が大切ではないでしょうか。

東大阪ロータリークラブ
横田孝久 記

青少年交換プログラム年表

1959-60年度 352地区のジョージア州と長期交換1名
1961年5月 RI国際大会が東京で開催。Donald N. Farquhar氏参加。
1962年 2560地区が米国と初の短期交換実施
ドナルド・ファークナー氏の尽力により久留米RC推薦による宮崎洋子氏が豪州との初の交換学生として豪州ローズバッドRosebud RCへ派遣される(One-way)。 その後275地区ガバナーの招待により、8名の学生が選抜され370地区(九州全県+山口)から豪州へ派遣。どちらもOne-wayの派遣であり、翌1963年に豪州より学生を受け入れ交換が成立。
1964-65年度 350地区とペンシルバニアで長期交換1名
1967年6月 355地区が米国528地区と5回目の短期交換実施6/26~7/24
1968年1月 第2回国際青少年交換計画委員会にて365地区は513/526地区より長期交換2名の受入れを決定
1968年3月 東京ステーションホテルにて第1回全国青少年交換委員長打ち合わせ会開催
1968年8月 365地区は京都ホテルにて地区青少年交換委員会第1回報告会開催
1972年 青少年交換プログラムがRI規定審議会にて決議され、正式に認証される
1978年5月 RI国際大会が東京で開催。同時に第8回RI青少年交換会議が東京ヒルトンホテルで開催。今回より同時通訳が採用され、それまで2-3名だった日本人の参加が大きく増えた。
1991年5月 RI国際大会がメキシコシティーで開催。それまで青少年交換委員が自ら開催していた国際青少年交換委員ミーティングが今大会より国際大会のPreconventionとして認知され、以降は毎年国際大会開催直前に青少年交換委員会議(International YEO Preconvention)が開催されるようになった。
1994年 第1回日本青少年交換研究会開催
1998年 第5回日本青少年交換研究会開催:ホスト2660地区
2000年7月 ガバナー会の小委員会としてガバナー会青少年交換委員会(JYEC : Japan Youth Exchange Committee)設置
2004年5月 RI国際大会が大阪で開催。過去最高の参加者(45,381人)
2005年 RI通達:青少年交換プログラム参加地区の法人化、賠償責任保険への加入、危機管理委員会の設置が義務化される。2006-07年以降、認証地区以外はプログラム参加出来ない事となる。
2007年7月 NPO法人国際ロータリー日本青少年交換委員会(Rotary International Japan Youth Exchange Committee : RIJYEC)設立
2010年 第15回日本青少年交換研究会開催:ホスト2660地区+JYEC
2017年1月 RIより「ロータリー青少年保護の手引き」配信
これを受けてRIJYEC理事会にて34地区ガバナーと各クラブ了承の基、ロータリー章典に準拠すべく、青少年交換プログラムをRI多地区合同青少年交換プログラムとして進め、多地区合同組織体として法人化する事を決定。
2018年4月 一般社団法人国際ロータリー日本青少年交換多地区合同機構(Rotary International Japan Youth Exchange Multi District organization : RIJYEM)法人登記、翌5月RI認証伝達
2020年1月 一般社団法人ROTEXがRotex JapanとしてRIより認定される。
2020年11月 東京北Exchangeロータリー衛星クラブがRIより認証を受ける。

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