大阪のロータリー100年のあゆみ
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<東日本大震災復旧復興支援>2011年3月11日14時46分、宮城県牡鹿半島沖130キロの大平洋を震源とするマグニチュード9.0の大地震が発生し、震度7の激震と最大40メートルの大津波、福島第一原子力発電所のメルトダウン事故により東北地方は壊滅的な被害を被った。全国のそして世界のロータリーはすぐに立ち上がり被災地に支援の手を差し伸べた。当地区でも震災直後には多くのロータリアン、ローターアクター他が、がれき処理、炊き出し、被災家屋の後片付け等のボランティア活動や不足食料、物資補給のために現地に入り復旧活動に従事した。また、各クラブから総額1億900万円もの多額の義捐金が集まり、約2500万円が被災地3地区に送られ、約3700万円は希望するクラブが独自に行う支援活動に充てられた。2011年7月には約4700万円の義捐金を地区で一括管理し、各クラブの支援活動に補助金を支給するための災害支援プロジェクトが設置され、復旧から復興に至る息の長い支援を行う受け皿となった。各クラブ及び災害支援プロジェクトが実施した支援事業の総額は1億3千万円に上った。<ロータリー財団の構造改革(FVP)>ロータリー財団は、補助金申請件数の急激な増加に伴いRI本部の事務処理能力が限界に達したため、補助金制度を抜本的に見直す「未来の夢計画:FVP(FutureVisionPlan)」と名付けたプロジェクトを立ち上げ、補助金の事務処理手続き、認可権限を大幅に地区に移譲し、より効果的で大きな成果を上げる施策を骨子としたロータリー財団の構造改革案を策定し2013年より世界全地区に導入した。当地区でも2011年FVP委員会が設置され、FVPのスムーズな導入を目指して各種検討を行うと共に、全クラブを対象としたセミナーを開催し内容の紹介と啓発に努めた。新しい制度、仕組みへの各クラブの理解と適応は早く、補助金申請数で全地区のトップを行くグローバル補助金を用いた大規模な国際奉仕活動への取り組みは揺るぐことはなく継続され、また地区補助金を用いた国内外の社会奉仕活動も活発に行われ今日に至っている。<中長期ビジョン、戦略計画の策定:新たなロータリーの模索>1990年代後半からの先進国の会員数減少に危機感を募らせたRIは、時代の要請に応じた新たなロータリーの在り方の検討を進め、2010年に長期的な国際ロータリーの方向性を示すRI戦略計画を発効させた。また、2017年にはロータリーの理念を示す新たなビジョン声明が発表され、2019年にはビジョン達成のための新たな戦略計画が発効した。新たな戦略計画は、4つの戦略的優先事項とそれを達成するための行動計画、使命、中核的価値観からなり、5か年有効である。当地区では2015年に地区戦略計画員会を発足させ、地区の戦略計画(中長期計画)の検討を進めると共に各クラブにも委員会を設置しクラブの中長期計画策定を呼びかけた。また、2017年には今後5年間の地区ビジョンを策定し、各クラブにも地区ビジョンを踏まえたクラブビジョンの策定を推奨した。<元青少年交換学生ピューリッツア賞受賞>うれしいニュースもあった。2003-04年度ポーランドからの青少年交換留学生として高槻西RCのお世話で1年間日本で学んだアントニー・スロドコフスキーさんが2019年度ピューリッツア賞(国際報道部門)を受賞した。スロドコフスキーさんはロンドン大学卒業後国際通信社のロイター東京支社に勤務し2011年東日本大震災を取材し全世界に発信した。その後ミャンマー支局長時代にロヒンギャ難民問題を取材しその功績が認められた。2019年4月から再び東京支社勤務で現在も高槻のホストファミリーと親交があり、高槻は第二の故郷と言ってはばからない。青少年交換により世界に大きく羽ばたいた若者の誇らしい事例である。

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